ERP(Enterprise Resource Planning)は、企業のヒト・モノ・カネ・情報を一元管理し、業務プロセスを標準化・自動化するためのシステムです。ここでは、導入の主な理由を6つにまとめます。
ERPを入れる前によくある状態:
売上:営業はスプレッドシート、経理は会計ソフト、ECは別システム
在庫:現場がExcel、倉庫はWMS、通販はモール管理画面
購買:メールとExcelとチャットで注文管理
社内共有:人によって見る画面が違う・数字も違う
結果として:
「どれが本当の在庫数?」と毎回確認が必要になる
粗利・部門別採算・プロジェクト別利益がすぐ出ない
数字が合わず、締め作業に時間がかかる・ミスが出る
→ ERP導入の一番大きな理由は、「会社の“真実の数字”を1つにするため」。
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会社が大きくなると、同じ作業を人手に頼る運用では限界が来ます。
例:
受注 → 在庫引き当て → 発注 → 入庫 → 出荷 → 請求 → 入金消込
プロジェクト開始 → 見積 → 契約 → 請求 → 原価集計 → 粗利算出
ERPを入れる理由は、
これらの流れを「決められたステップ」に落とし込み
できるところは自動でつなげる(ワークフロー化)
誰がやっても同じ結果になるようにする(標準化)
ためです。つまり、「人の頭の中にある“やり方”を、システムに固定する」のがERP導入のモチベーションです。
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ありがちなケース:
「この見積の作り方は◯◯さんしか知らない」
「売上計上のルールは△△さんのExcelにしかない」
「ECと会計の突合は□□さんしかできない」
これは、その人が辞めた瞬間に業務が止まるリスクです。ERPにプロセスとデータを載せると、
ルールがシステムとして見える化される
誰が見ても、どのタイミングで何をやるか分かる
新しく入った人でも、マニュアル+システムで運用できる
→ 「会社としての記憶」をシステム側に持たせるイメージです。
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経営層が本当に知りたいこと:
今月、どの事業・どの商品がどれくらい儲かっているか
キャッシュがいつ、どれくらい増減するか
どの取引先・チャネルが利益を生んでいるか
バラバラなシステムだと、
集計に毎回、数日〜数週間かかる
各部署からExcelを集めて手で加工する必要がある
気づいたときには「すでに手遅れ」になりがち
ERPに集約すると、
売上・仕入・在庫・原価・人件費などを一気通貫で管理
部門別・商品別・顧客別の採算がいつでも見える
経営会議のために、わざわざ「集計プロジェクト」をしなくてよくなる
→ 「意思決定を早く・正確にするための基盤」として導入されます。
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一定規模以上になると避けて通れないポイント:
誰が、どのタイミングで、どの伝票を登録したか
承認フローが正しく通っているか
ログが残っているか
不正・ミスが起きたとき、遡って確認できるか
Excel+メール運用では、証跡が不十分になりがちです。ERPを入れると、
承認ワークフロー(申請→承認→実行)がシステムに組み込まれる
操作履歴(誰が、いつ、何をしたか)が残る
監査・IPO・銀行審査などで説明しやすくなる
→ 「ちゃんとした会社に見られる/なれる」ための投資でもあります。
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AIがいくら高度になっても、
データがバラけている
プロセスが人ごとに違う
ルールが頭の中とExcelにしかない
状態では、AIもまともに働けないのが現実です。だからERP導入の本質は、
> 「AIが正しく働けるように、データと業務を整理された“土台”に乗せること」
とも言えます。
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ERPを導入する主な理由は:
データを一元管理し、“正しい数字”を明確にするため
業務プロセス(受注〜請求〜在庫など)を標準化・自動化するため
属人化を減らし、引き継ぎと組織拡大をしやすくするため
経営判断を早く・精度高くするため(部門別・商品別採算など)
内部統制・監査・IPO・銀行対応などの「ちゃんとした会社」要件を満たすため