この記事では、SalesforceからHubSpotへ移行する理由 と、 実務の現場で「移行相談」が増えている背景について整理します。
これまでの講義・動画では、SalesforceとHubSpotの違いや、 コストシミュレーションなどを見てきましたが、 ここでは一度立ち止まって、
そもそも、どんな会社がHubSpot移行に向いているのか?
逆に、「今は移行しない方がいい」ケースは?
なぜ最近、移行相談が増えているのか?
といった視点でまとめていきます。
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現場で実際に支援していると、 Salesforce → HubSpot移行の理由は、だいたい次の3つに集約されます。
コストが高く、予算を圧迫している
機能を使い切れておらず、投資対効果が合わない
マーケティングと営業を一元管理したい
順番に見ていきます。
1つめは、非常にシンプルです。
Salesforceのライセンス費用
サポート費用(保守費、代理店費用、運用委託費 など)
が高く、売上規模や実際の活用内容に見合っていない というパターンです。
具体的には、こんな声が多く聞かれます。
「売上規模に対して、Salesforceのランニング費用が重い」
「そこまで高度なことはしていないのに、エンタープライズ級の料金を払っている」
「代理店費用や保守費まで含めると、年間予算をかなり圧迫している」
これまでの講義やシミュレーションでも触れてきた通り、 コスト削減は移行理由として最も大きな要素 になりやすいです。
2つめは、「機能を使い切れていない」 というパターンです。
Salesforceは非常に高機能で、 設計次第でほとんど何でもできるプラットフォームです。
一方で、
仕組み・権限・オブジェクト構造が複雑
管理・開発をできる人材が社内に限られる
設計した人が異動・退職するとブラックボックス化する
といった事情もあり、特に
中小企業
スタートアップ
では、
> 「正直、標準的なCRM+SFAレベルしか使えていない」 > 「高度なワークフローやカスタム開発までは手が回らない」
というケースが少なくありません。
その結果、
機能レベルは「王様クラス」なのに、
実際の活用度は中レベル以下
というギャップが生まれ、 投資対効果が合わない と感じられるようになります。
3つめは、マーケティングと営業の一体運用 を重視するケースです。
HubSpotはもともとインバウンドマーケティングのプラットフォームとしてスタートしたサービスです。 そのため、
リード獲得(広告、セミナー、Webコンテンツ、フォームなど)
メールマーケティング・ナーチャリング
営業案件・商談管理
を1つの基盤の上でつなぎやすいのが特徴です。
最近では、HubSpot側でも「営業管理」まわりの機能がどんどん強化されており、
マーケティングで獲得したリードの情報
営業の商談・活動履歴
を紐付けて一元管理したい企業にとって、 HubSpotは非常に相性が良い選択肢になってきています。
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一方で、すべての会社がHubSpotに移行すべきかというと、 決してそうではありません。
実際にSankaでも、
> 「このケースなら、正直Salesforceのままの方が良いですね」
とお伝えすることがあります。 その代表的なパターンが次の3つです。
Sankaは外部システムとの連携開発も数多く担当していますが、 その立場から見ても、
> 「Salesforceではできないけれど、HubSpotならできる」
というケースはほとんどありません。
むしろ、
AppExchangeの豊富なアプリ
外部システム連携の実績
カスタム開発の自由度
といった意味では、Salesforceの方が優位と言えます。
そのため、
さまざまな業務システムと複雑に連携したい
自社専用の高度なカスタム画面・ロジックを実装したい
といったニーズが強い場合は、 Salesforceを軸に検討し続ける方が合理的 なことも多いです。
HubSpotも拡張・連携はできますが、 “なんでも好きなように作り込める開発基盤” というよりは、
> 「マーケ・セールス・CSの標準的なベストプラクティスを > ある程度パッケージ化したプラットフォーム」
という性格に近いです。
そのため、
既存の業務フローをほぼそのままシステム化したい
細かい画面挙動や独自ロジックまで徹底的に作り込みたい
という場合は、 Salesforceの方が自由度が高い と感じるはずです。
最後は意外と多いパターンです。
「今お願いしているSalesforceの代理店が全然動いてくれない」
「要望を出してもレスが遅い、提案も少ない」
といった不満から、
> 「じゃあいっそHubSpotに移行してしまおうか?」
となっているケースです。
ただ、この場合、
問題の本質は「ツール」ではなく「ベンダー」の可能性が高い
ことも多く、 まずはSalesforceの中で別のパートナーを探す という選択肢も十分に検討すべきです。
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ここからは、「なぜ今、HubSpot移行相談が増えているのか」 について触れます。
まず最初に、1つ大事な前提があります。
> 公開データとして、「何社がどちらからどちらに移行したか」という正確な統計はほぼ存在しない
ということです。
HubSpot → Salesforce への移行もあれば
Salesforce → HubSpot への移行もある
ものの、絶対数や全体トレンドは外からは見えません。
この記事・講義でお伝えしているのは、
> 「業界全体で必ずHubSpot移行が増えている」という話ではなく、 > あくまでSankaが受けているご相談案件の中で、 > Salesforce → HubSpot移行ニーズが増えている
というレベルの話だとご理解ください。
そのうえで、「なぜ相談が増えているのか?」を整理すると、 おおよそ次のような要因が見えてきます。
不況やコスト見直しの流れの中で、
IT予算の見直し
サブスクリプションの棚卸し
ツールの集約・統合
といったテーマが、どの企業でも強くなっています。
その中で、
Salesforceで実施していることを
HubSpotに置き換えた方が、 トータルコストを下げられそう
という観点から、 移行検討の相談が増えている という背景があります。
HubSpotには、閲覧専用の ビューオンリーアカウント を作れる仕組みがあります。
これにより、
営業・マーケ以外(管理部門、コーポレート、オペレーションなど)にも
追加ライセンス費用をかけずに情報を共有できる
ようになります。
Salesforceでは「見るだけの人」であってもユーザーライセンスが必要になるケースが多く、
「本当は全社で見たいが、費用の都合で営業・マーケだけに絞っている」
という会社も少なくありません。
HubSpotなら、コストを抑えながら全社的な情報共有がしやすい ため、 この点を評価して移行を検討する企業も増えています。
近年、B2BのSaaSにおいても、
「業務アプリだから多少使いにくいのは仕方ない」
という考え方から、
「業務アプリこそ、直感的で使いやすくあるべき」
という考え方に変わってきています。
その中で、
UIが分かりやすく、オンボーディングがしやすい
非エンジニアの担当者でもある程度自走しやすい
といった理由から、 HubSpotの「使いやすさ」を重視する企業が増えています。
以前は、
> 「この機能はSalesforceならできるけど、HubSpotだと厳しい」
という場面も多くありました。
しかし、ここ数年でHubSpot自体の機能開発ペースが上がり、
セールス機能
ワークフロー・自動化
カスタムオブジェクト
レポーティング
などの領域で、 「今までHubSpotでは足りなかった部分」 がかなりカバーされるようになってきました。
これにより、
「以前はHubSpotではできないから諦めていた構成」が
「今ならHubSpotでも十分実現できそう」
に変わってきており、 そのタイミングで移行検討が再燃している企業もあります。
「マーケティングはマーケのツール、営業は営業のツール、 カスタマーサポートはサポートのツール」というようにバラバラに運用していると、
顧客の全体像が見えにくい
どの施策が収益につながっているか追いづらい
部門間の連携が取りづらい
といった課題が生まれます。
そこで、
マーケティング
セールス
カスタマーサービス
を1つのプラットフォーム上で一元管理するというトレンドが強まっています。
たとえば、
「Google広告経由で来たリードは、このような商談プロセスを通すと受注率が高い」
「ウェビナー参加者からの案件は、どのステージで詰まりやすいのか」
といったことを、 マーケ〜営業まで通しで分析・改善していく動きです。
HubSpotは、まさにこの「一気通貫管理」をしやすい構造になっているため、 このトレンドとも相性がよいと言えます。
最後に、技術的なハードルの話です。
以前は、
CRMのデータインポート/エクスポート
項目マッピング
クリーニング・変換
といった作業に、かなりコストと時間がかかりました。
しかし現在は、
各種ツール・コネクタの充実
データ移行専用サービスやテンプレートの普及
ベンダー側のノウハウ蓄積
によって、
> 「Salesforce → HubSpot」 > 「HubSpot → Salesforce」
のような双方向のデータ移行が、以前よりもずっと現実的にこなせるようになっている という背景もあります。
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ここまで読むと、
> 「なんだかHubSpotに移行するのがトレンドなんだな」
と感じられたかもしれませんが、 最も重要なのは、
> トレンドではなく、「自社にとって本当に合っているか」
です。
これまでの講義・記事では、
SalesforceとHubSpotの機能・思想の違い
コストシミュレーション
移行が向いているケース/向いていないケース
などを、なるべくフェアな視点で整理してきました。
そのうえで、
「コストが高すぎる」
「機能を使い切れず、宝の持ち腐れになっている」
「マーケと営業を一元管理したい」
というニーズに強く当てはまる企業は、 HubSpot移行を検討する価値が高いと言えます。
逆に、
ガリガリとしたカスタム開発を最優先したい
AppExchange前提でエコシステムを組んでいる
今の課題はツールではなく、パートナー(ベンダー)側にある
といった企業は、 Salesforceを軸に改善する方が健全なケースもあります。
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ここまでの内容を踏まえて、
> 「よし、うちはSalesforceからHubSpotへの移行を前向きに検討したい」
と感じられた方は、 次のステップとして「準備編」に進んでいくことになります。
次のセクションでは、例えばこんな内容を扱っていきます。
Salesforceにあるデータの棚卸し・一覧化
移行対象とするオブジェクト・項目の整理
社内リソース(担当者・時間)の確保
プロジェクト体制・進め方(社内/ベンダーの役割分担)
など、実務的な準備の進め方を具体的に解説していきます。
HubSpot移行に少しでも興味があれば、 ぜひ次の記事・講義もあわせてご覧ください。